子ども探検
Child exploration
心はどこにあるのでしょう?
皆さんは心はどこにあると思いますか。心臓が心ですか?それともその近く?胸の中のどこか? 答えは頭のなか。つまり脳が心なのです。
脳とは数百億個の細胞のかたまりです。そのなかで神経細胞と呼ばれているものが体の他の部分との間の連絡を受け持っています。脳の中では、この情報を伝える神経細胞がたくさんつながっています。 神経細胞は中心の部分(細胞体)が会って、そこからアンテナのように突起が出ています。一本だけ非常に長く伸びていて末端のところで枝分かれしています。
それが神経で他の神経細胞の突起につながります。このつながりはシナプスと呼ばれており一個の神経細胞に数千から数万個もあります。神経細胞のつながりによって神経回路網ができあがります。その回路に情報(神経情報)が伝わって行き、神経細胞の間をぐるぐると走り回っているのです。こうして特定の神経細胞群が働くと特定の働きが起こってきます。
手足を動かすことや考えること、話すことなどです。心のいろいろな状態はそれぞれに対応する神経細胞群が働いて起こっているのです。神経細胞の一本の枝が伸びていって他の神経につながり、そのつながりをシナプスと呼ぶと説明しましたが、このとき大切なのは図のように髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる一種の絶縁体ができないと神経情報がスムーズに伝達されないということです。もう一つ、神経細胞の特色として、生後数が増えないと言うことがあります。
皮膚などでは怪我をしても新しい細胞が作られますが、脳のなかで神経細胞が傷ついた場合、神経細胞の再生は、起こりません。神経細胞の数、神経細胞の枝の行き先は遺伝的に決まっています。遺伝で決まらないのは枝のつながり、シナプスです。シナプスの数と働きは遺伝と環境(主に環境)の両方の条件で決まります。
幼児期の脳の発達を考えるとき、この神経細胞のシナプスをどうするかが 非常に重要な問題となってきます。遺伝的に決まっているものは適当に栄養を補給していれば、ある時期にそれらが出来ますが、シナプスは遺伝と環境の条件でいろいろ複雑に変わってきます。
環境からの刺激
さまざまな経験、環境からの刺激が脳の発達にどのように関係しているかを考えるうえで興味深い実験があります。 図のように子どものネズミを3つの異なった環境条件で飼育します。
Aは12匹のねずみを大きなケージに入れます。これは豊かな環境ということで遊ぶおもちゃがたくさんあり、ねずみはよじ登ったり跳び降りたりできます。遊ぶものや触れるものがたくさんあります。
Bは普通の環境ということで、普通のケージに3匹を入れておくだけです。特別のおもちゃは与えません。Cはまずしい環境ということで、1匹だけにして狭いケージに入れます。遊ぶもの触れるものはほとんどありません。 このような3つの異なった条件でねずみを1,2ヶ月飼育すると、脳に変化が現れてきます。Bの普通の環境で育てたネズミの脳を基準に考えると、Aの豊かな環境で育ったネズミの脳は3%程大きくなります。視覚を受け取る場所は一番変化が起こりやすく、差が大きくなります。
他の場所例えば前頭分野でも少し変化してきます。逆にまずしい環境で育ったネズミは脳が6%程小さくなります。刺激を与える量、あるいは生まれてからの月数によって変化は一様ではありませんが結論としては、豊かな環境で育てると脳の皮膚感覚をうけとる場所も、視覚を受け取る場所も大きくなっていくのに対して、まずしい環境で育てるとそういった領域が小さくなるということです。
刺激の適時性
神経細胞同士がつながっても、そこに髄鞘(ずいしょう)というものができないとスムーズな情報の伝達が出来ないと言いましたが、この髄鞘がいつできるかは脳の場所によって違います。
この図は脳の各場所でいつ髄鞘ができ始めて、いつ頃完成するかを表したものです。
例えば手足を動かす場所(運動野)から脊髄へ降りている神経(20)の髄鞘化は生まれたときに始まり、1才で完了します。これがほぼ完成するのは生後4,5ヶ月くらいです。視覚野へ来る神経(13)は生まれたとき始まり4,5ヶ月くらいで完成します。音が聞こえる場所(視覚野)へ来る神経(15)も生まれてしばらくたって髄鞘化が始まり1才とちょっとでほぼ完成に近づきます。筋肉につながる神経(1)、外の感覚器から脊髄へ来る神経(2)はだいたい生まれたときにできています。また脳幹(3~11)も多くのところで髄鞘ができています。髄鞘化の時期は脳の場所によって違います。1年ほどたつと手足に触れると分かるようになる部分(皮膚感覚野)がほぼ完成します。また手足に命令を出す場所(運動野)も1年くらいでやっと動かせるようになります。
ところがものを考えるという非常に高級な働きをする場所(前頭前野=25)への神経は、生まれたときにはまだ働いていません。生後4,5ヶ月頃からやっと働き始めて、10年たっても未だ完成しません。20年程たってやっと完成するのです。神経細胞ができる時期は遺伝的に決まっています。考える作業を小さいときからすると前頭前野の髄鞘化の起こっている時期に合うように刺激を与えて、その場所を働かせるようにしなければいけません。2才頃までは未だ理屈でものを考えることや、十分に言葉を使うことはできません。ですから感覚機能や運動機能を高める刺激を与えておくことが、必要であると思われます。
このような発達の適時性を考えないで、いきなり抽象的思考や判断を要するような難しい知的教育を強要することは、いわば絶縁体の不十分な電線に電気を流すのと同じ危険性があります。つまりいつ漏電するか、ショートするか分からないということです。
感覚機能と運動機能
空の青、木々の緑、暖かな南風、頬を刺す木枯らし、母親の優しい語りかけ、快い音楽、不快な音、人の匂、土の香りと手触り、花の香りと美しい色、人肌のぬくもりと柔らかさ、石の冷たさと質感・・・・・。
このようなことを言葉の領域が発達しだす前の時期に経験し、理解することが大切であると考えます。その後これらの経験と言葉が結び付き、その子の頭のなかで確固たる位置をきすくようになるのです。しかし、乳児が言葉をしゃべれないからといって言葉がけをしないということは良くありません。すでに数ヶ月の赤ちゃんの脳は左脳の神経細胞が言葉に良く反応し、雑音には反応しないということがあり、逆に右脳の神経細胞は言葉よりも雑音に良く反応します。
たとえ赤ちゃんがしゃべれなくとも言葉の領域ではシナプスができ、発達しつつあることが分かります。 小脳は運動のスピードをだすことと、たくさんの筋肉を強調して使うことや、運動パターンの学習に関係がありこの領域の髄鞘化はだいたい1,2才で完了します。ただし実際に運動スピードが出るようになるためには筋肉の発達をまたなくてはなりません。
この図は生まれたときから20才迄にみられる脳と一般臓器と生殖器の成長の比較です。これで分かるように脳の成長は体のなかで最も早いのです。幼児期には1つの運動にこだわることなく基礎的な運動パターン(走る、跳ぶ、投げる、蹴る等)を覚えることが大切です。
あたま
体の各部位は、均等に発達するのではなく、各部位が相互に関係をもちながら独自の発達をし、ざんじ均等のとれた体型をもつようになります。
3才ころまでの体型は、額が大きく、腹は前につき出て、胴に比べて手足は小さく細いのです。これに対して6~7才頃に見られる体型は、学童体型と呼ばれ、幼児体型に反してかなり、すらっとした容貌になります。
以上2つの体型の過渡期として、4~5才ころにみられるのが移行体型と呼ばれ、幼児体型と学童体型の混合型です。したがって、両体型の特徴を共有しています。次に、新生児から学童期にかけての体型の変化を具体的にあげてみます。
1.顔の面積と頭蓋の面積の比が一般的に新生児では1対8、5才児では、1対5成人では1対2.5になり、発達するにつれて顔の面積のしめる比が大きくなってきます。
2.頭囲の発達は、3才ころに急速に行われ、5~6才ころに発達のテンポが緩慢になります。フォアオルトの頭の発育の研究によると脳の重量は3才ころまでに急速に増加し成人した場合の重量の3分の2強に発達し、その後の重量がほぼ最高に達する18才まで緩慢な発達を示します。
3.ストラッツの研究による身長と頭高の割合からみると2表の様です。2才では1対1/5であるのに6才では1対1/6になることからして、学童になると身長に対して頭高の割合が小さくなってくることが分かります。
4.身体各部の比率の発達から考えてみましょう。これもストラッツの研究によると右図のようです。この結果からして、年齢の推移につれて、だんだんすらっとした容姿に変化してきます。これは全身の重心が年令とともに逐次下の方に下ってくるためです。新生児の重心はおよそヘソの上の方にあり、2才児ではヘソに近い下の方になり、6才児ではヘソと股間の位置に重心が下がります。このような4つの観点から、幼児期までは一般的に頭でっかちですが、学童期になるとかなり均等のとれた体型になってくることがわかります。したがって、乳幼児期では走ったりするとよく転ぶが学童期になると転ぶことがすくなることの一因がわかります。
髪の毛
頭の形や重さと同様に、髪の毛も頭の重要な一部分です。東部は頭の部分と顔の部分とに分けられます。普通、私たちは髪の生え際を境界線と考えています。でも、これでは、はげたときにどんどん顔が大きくなってしまいます。本当は、鼻の付け根と眉毛を結び、耳の穴に達する線が顔と頭の境目です。
髪の毛はどれくらいあるの?
髪の毛は、皮膚の一部からできたもので、頭をけがや暑さ、寒さから守る働きをしています。数はざっと、10万本程です。といってもずっと同じ髪の毛があるのではなく、1年半から6年位で抜け変わっています。おとなではもう少し長い期間で抜け変わります。また、1ミリ伸びるのに3日程かかります。つまり1ヶ月で1センチくらい伸びます。
髪の毛はどこから生えているの?
皮膚の表面には、皮膚がくぼんでできた毛穴があります。毛穴の奥にある毛母細胞ということがあり、血管から栄養を取り入れながら成長していきます。これが髪の毛になるのです。髪の毛だけではなく、全身の毛は、毛穴から生えています。
髪の毛のいろいろ
わかめや昆布に含まれる成分は、髪の毛を育てるホルモンの大切な材料になります。ですから、それらが、不足しないように食べることは良いことなのですが、それによって、髪の毛の生まれつきの質mでも変わることはありません。髪の毛の質は、両親から受け継いだ体質で決まります。髪の毛を輪切りにすると、直毛は断面が丸く、ちぢれ毛は楕円形になっています。どうしてそうなっているのかは、分かっていません。普通、アジア人には、直毛が、ヨーロッパ人には波状毛、アフリカ人にはちぢれ毛が多く見られます。
ひげがはえるのはなぜ?
ひげが生えるのは、男性ホルモンの働きです。小学校の高学年から中学校になると、男子では、男性ホルモンの働きが活発になり、声が太くなり、がっちりした身体つきになります。このときは、口のまわりの産毛も固いひげに変わります。女性にも、男性ホルモンはありますが、男の人にくらべると少ないのでひげは生えないのです。
視力の発育
子供の視力はいつごろ完成するのでしょうか?
図1は、視力がどんなふうに発育してくるかということを図に示したもので、生後1ヶ月では、明るい方を見るくらいです。3ヶ月では0.01~0.02、生後6ヶ月では0.2~0.25、2年では0.5~0.6満3才から3才半くらいになると3分の2くらいが、視力1.0になります。でも平均的には、未だ0.7から0.8というのが大分あります。4才で、71%が、5才では、83%が1.0になります。視力の異常は大体10%ありますので、8割から9割が1.0になれば、みんな1.0といっていいでしょう。
すなわち生後3才くらいまでに、伸びる子はどんどん伸びていって、4才から5才でもう完成するわけです。大人は健康視力として1.0という視力を持っていますが、これは生まれたときからあるものではなく、4,5,6才くらいの年代でできあがるものなのです。
子どもの視力測定
視力をはかる視力表にはいろいろありますが、子供には、下図のようなランドルト環を使います。この環の切れ目の方角を答えてもらう方法です。検査に際して5個のなか3個正答できれば、視力が認定されます。これなら知能や経験に影響されないで測れます。
色覚の発育
視力は発育しますが、色覚も発育します。さらに弁色能という色を見分ける力も発育します。弁色能は赤ちゃんの時から十分備えているわけではなく、発育するのです。図3のように0才、4才、6~10才、15~18才と横軸に年令が書いてあり、縦軸に弁色能をとっています。 大人の正常レベルを100としますと、6才~10才くらいで7割~8割くらいまでできあがります。これは、生まれ付き持っているレベルと、さらに才能、理解力、経験などが加わって出来上がるのです。
両眼視の発育
両眼視というのは、左右2つの目で同時にあるものを見て、頭のなかで1つのものとしてまとめる働きを言います。 この両眼視の働きも、視力同様発育します。最終的に、両眼視はどういう発育をして出来上がるかというと、それは距離感、立体感で、出来上がるのが4,5才です。 図4は、うさぎとねこの両眼視で、図5は人間の両眼視です。強い動物ほど前に目がついていて、後ろが全く見えません。 人間の両眼視は120度で、これができあがるのが、4才から5才なのです。 以上からいろいろな目の働きの発育は、6才までが勝負なのです。
視力の発育を損なうもの
視力の発育を損なうもの 視力の発育を損なう原因は大別すれば以上のようになります。
(1)屈折異常によるもの
両眼の遠視及び乱視・・・・・・屈折性弱視
不同視・・・・・・・・・・・・不同性弱視
(2)斜視によるもの
片目性・・・・・・・・・・・・斜視弱視
(3)眼器質変化によるもの
片目の白内障、角質白斑
および眼瞼下垂・・・・・・・・廃用性弱視
● 遠視:これは、いろいろとトラブルを引き起こします。遠視は遠い光だけではなく、近くの光も網膜の後ろにピントが合うので、遠くも近くもピンぼけで、視力の発達を損ないやすいのです。しかも、遠視は本来生まれ付きが多いので、生まれたときからピンぼけなのでなおさらです。
さらに、視力の発育を損なうだけでなく、目を内に寄せる内斜視も起こします。この遠視による内斜視は、メガネをかけて治します。
● 近視:遠視と違って、網膜より手前にピントがいきます。遠くの光はピントが合わないが、近くの光はちょうどピントが合うところがあるので、メガネを外しても、近くのものは読めます。(屈折性近視)赤ちゃんは、わりに近くの物体を見ながら発育します。ですから近視は、視力の発育に悪影響を与えないのです。
● 不同視:右目と左目と度が違うものを言います。
例えば、右目が正視で、左目に遠視があるとします。そうすると、良い方の目ばかりで物を見ますから、良い方の目はちゃんと発育して1.2ですが、悪い方は発育が後れて、0.1としますと、6才を過ぎてから発見し、メガネをかけても0.1か0.2しか見えません。発見が遅れたからです。
この図は昭和40年の大阪私立小児センターの患児のデータです。遠視と乱視がいっぱいあります。3才~5才も遠視と乱視が大変たくさんあります。近視は大した数ではありません。
視力の発達から考えると、3才~5才までですからこの時期が大切なのです。この遠視、乱視というのは、ほとんどが先天性です。
これと不同視が視力の発達に屈折異常としてトラブルになるのです。又、これは6才までに非常に多く、発育から考えると6才ぎりぎりにメガネを合わせていては遅いのです。
視力発達と年齢の関係
<例>1才の頃、まぶたにやけどをして、1ヶ月眼帯をしていた子供が、小学校に入り、視力が悪いのに気が付き強制したが直らなかった。この図7は、視覚の発育とその発育を損なう遮へいをしたものに答える機敏さは100%ダメージを受けます。
早期発見のために視力検査
最初の方で出ましたランドルト環で行います。幼児は“ランドルト環字ひとつ視力検査法”という方法が適しています。 距離は5mで行います。3才~4才ではなかなかきっちり答えてくれませんので0.6ぐらいで正常範囲に見て、4~5才では0.7、5~6才で0.8、学校に入る頃には1.0でスクリーニングするのが良いでしょう。 答えるほうは、上下、左右となかなか答えにくいので同じランドルト環を、ハンドルのようにして切ってこれを回して答えさせるとやさしく出来ます。
○家庭でも発見できる目の症状
部位 | 質問 | 該当疾患 |
---|---|---|
視覚異常 屈折異常 |
物(テレビなど)を見るとき、異常に近づいて見ますか。 |
両眼の遠視能力低下(含屈折異常) |
物(テレビなど)を見るとき、目を細めたり、あごを引いて三白眼で見たり、横目で見ようとしますか。 |
両眼の屈折異常 |
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本を読むとき顔を近づけすぎませんか。 |
近視力の低下 |
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教科書やノートを読む学習に根気がないですか。 |
遠視か乱視 |
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文字(ことに漢字)や行の読み違えがありますか。 |
乱視 |
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暗いところで足下が悪そうにしますか。 |
夜盲と視野狭窄のある疾患 |
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斜視 眼筋障害 眼振 |
斜視(やぶにらみ)がありますか。 |
斜視 |
戸外の明るいところでまぶしそうに片目をつむりますか |
間歇性斜視 |
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近くの物を見ようとするとき、片目が内によりますか。 |
調節性内斜視 |
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物を見ようとするとき、首をかたむけますか。 |
上下斜視 |
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物を見ようとするとき、顔を回して横目で見ようとしますか。 |
眼球振盪・眼筋障害 |
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前方を見るときあごを上げて見ますか。 |
眼筋障害・眼瞼下垂 |
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色覚異常 前眼部 |
絵を描くときに色の使い方がおかしいことがありますか。 |
色覚異常 |
明るいところでまぶしがりますか。 |
まぶしさの強い眼疾患 |
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角膜(くろめ)や瞳孔(ひとみ)が白くなっていますか。 |
先天性白内障・網膜芽細胞腫・未熟児網膜症 |
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眼瞼(まぶた)のふちが赤くなったりただれますか。 |
眼瞼縁炎 |
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眼瞼(まぶた)にぐりぐりしたしこりがありますか。 |
霰粒腫 |
|
目をかゆがりますか。 |
眼瞼縁炎・結膜炎・春季カタル |
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結膜(しろめ)が赤くなりやすいですか。 |
角膜炎・結膜炎・ブドウ膜炎 |
|
眼油(めやに)が出ますか。 |
結膜炎 |
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まばたきがはげしいですか。 |
角膜乾燥症・チック |
参考文献 「目のはたらきと子供の成長」 築地書館 湖崎 克著
ヒトの鼻
ヒトは哺乳類の中の霊長類です。霊長類にもピンからキリまであって、ネズミのような姿をしたものからサルらしい姿のもの、類人猿、人類といった順序で進化してきました。ヒト(ホモ)になってからは、エンジン、原人、旧人、新人という順序で進化しています。下図の左は猿人のゴリラ、中は原人(ホモ・エレクタス)、右は、新人(ホモ・サピエンス)でその続きが我々現代人です。
右図でわかるように、ヒトの脳みそが実に大きくなり、また顎がだんだん小さく退化しています。このように、脳の拡大という進化と顎の縮小という退化の為、鼻は脳と顎の間にあって、もがいている状態です。顎の退化より脳の進化の方が強かったので、脳の影響をより強く受けています。
においと鼻
においは、一般の哺乳動物では、生命の感覚です。においによって食べ物をみつける。においによって、自分より強い動物や弱い動物がそばにいるか、いないのか、食えるか襲われないかということを判断する。種族保存の本能として自分の相手方のオスやメスを探す。これらの判断や行動を全部離れた場所にいる相手方からの空気に入ってくるにおいによって行われます。においの他に目や耳も使いますが、においがなかったら、夜も日を明けないというのが、嗅覚動物といわれる哺乳類の特徴です。 ところが人類でも現代人になると、まるで違った物になってしまって、文化的、し好的になって生命維持に無関係なわけです。 霊長類になるととたんに嗅覚が落ちてきますが、これはサルが樹上生活を始めて哺乳類的嗅覚を必要としなくなったためと、視覚がよくなってウマやウシのような則方視(目が顔の両側に付いている)からサルやヒトのように前方視(目が顔の前方に付いている)になり、目と目の間に鼻の中(鼻腔や副鼻腔)がはさまれて圧迫されて、嗅覚が退化したことによっているとされています。この嗅覚の退化が始まってから、猿人類などでは、発情の周年化という現象もおきています。
鼻ったらしについて
二本棒というのは、本来、こどもの鼻副鼻腔炎(蓄膿症)を構わずに放置していた状態で、二本棒というのは決していいことではありません。だれでもこどもの時にはたらすんだからと、甘く考えてはいけません。鼻副鼻腔炎がどのような国に多いかといいますと、新興国というか後進国の方が先進国より多く、先進国はアレルギーが多いことがいえます。
このことを各国児童が摂っている栄養と比べてみると、蛋白質の量や栄養のバランスが大きく影響しています。わが国も学校給食が始まったとたんに、よくなった子が非常に多いんですが、学校給食を続けていても悪くなる子はいます。それは、いろいろ悪い条件があるからです。それには、適切な医学的な配慮が一番であります。どうぞ、鼻副鼻腔炎には十分気をつけてください。
耳
耳の役割は音を聞くことです。顔の横にふたつくっついた耳は、音がどの方向から聞こえてくるかをとらえることができます。 そこで、名前を呼ばれたらクルッとふりむくことができるし、車が近付いてきたら道路の端のほうによって車を避けることもできます。楽しい音楽を聞くのはわたしたちの喜びの一つです。
ほかの人の話を良く聞くことは、おたがいに心を通わせ、親しい関係を作るために、大事なことです。耳にはもう一つ、大切な役割があります。体のバランスをとることです。歩いたり、走ったりしても、つまずいたり、転んだりしないのは、耳の奥にバランスを取る装置があって、うまく働いているからです。
聞くことはどのくらいからできるの?
新生児は、生まれてまもなくすると音に反応するようになります。月日がたつにつれて乳児の音に対する反応の仕方が違ってきます。又、乳児の聴覚は日常の生活のなかで両親の声やいろいろな環境音を聞くことによって発達していくものです。乳幼児の聴覚には、環境が大きく影響しているといえます。したがって呼びかけや音の少ない環境にある乳幼児は正常な発達が望めなくなります。
どのくらいの大きさまで聞こえるの?
私たちは普段どんな音を聞いているのでしょうか。環境としての音の中身を知っておきましょう。人の声は叫べば大声になり囁けば小さい声になります。20~70デシベルの範囲です(0は健康な聴力で聞こえる最低限度を言います。)。音の高低、強弱は一般的に70~80デシベルを中心にしています。120デシベルくらいの音をしょっちゅう聞いていると耳の中の音を聞く装置が故障してしまうこともあります。
なぜ目がまわるの?
耳は音を聞く器官であるとともに、同時に身体のバランスをとる、平衡感覚をつかさどる器官でもあります。そして音の方向を探るレーダーの役目もします。 耳の中の三半器官がバランスをとるための装置で、この中に液体がつまっていて、くるくる回るとこの液体も動きます。この液体が耳の周りにある迷走神経を刺激して、気持ちが悪くなるのです。 音は水の波紋のように広がります。耳が顔の両側にあることによって音をキャッチする時間にズレが生じてそのズレによって音の方向を知ることが出来るのです。
ブランコに乗るとスーッとするのはなぜ?
私達は普段、地面や床に足をつけて生活しています。ブランコやエレベーターのように、いつもと違う動きが加わると、身体のバランス装置が働いて、スーッとするのです。こどもがブランコをよろこぶのは、バランス装置がまた未発達なために、この感覚がおもしろいと感じるのです。
大人には嫌な感覚として感じてしまうのは、平衡感覚が発達しているためです。これと同じ様に、乗り物酔いも平衡感覚が未発達な四才位まではほとんどありませんが、四才頃から思春期頃までは、この平衡感覚が発達段階にあり、自分でコントロールできないために、乗り物酔いになってしまいます。平衡感覚が発達すると乗り物酔いも少なくなります。
虫歯や小児病
虫歯は小児病です。虫歯のよく発生する時期が人の生涯に二度ほどあります。まず、4才前後(2才半くらいから始まり、3~4才がピークになります)が第一の時期です。次が13~14才の思春期頃にまたピークを迎えます。が、この時期の原因を正せば、乳歯の虫歯と大きく関わってきます。
虫歯の原因
虫歯はいったい何でおこるのでしょうか。結論的に言えば細菌による感染性の病気ということになります。いわゆる虫歯菌という微生物によって起こる病気ということです。しかし、虫歯は部位によって病原菌が違います。
噛み合わせの部分・・・は乳酸杵菌という乳酸菌をつくる菌とストレプト・ミュータンスという連鎖球菌が原因菌です。
隣り合った歯面・・・・ミュータンス菌だけで起こります。
歯の生え際・・・・・・オドントマイセス・ビィスカス菌で比較的年令の高い人に多く歯槽膿漏と関係する。
以上のような原因がありますが、いずれにしろ虫歯の主役は、歯の汚れとミュータンス菌です。
歯垢について
歯の汚れとは、いったい何なのか。大きくわけて3つあります。
1食べかす・・・肉の繊維、魚の皮、野菜の切れ端など。
2歯垢・・・・・歯のへり、歯間などに付く、白いペースト状のもの。虫歯の原因
3歯石・・・・・歯垢が唾液の石灰分で固まったもの。歯槽膿漏の原因
(ただし、こどもには少ない)
歯の汚れは虫歯の原因です。磨く時も、歯垢をとるために磨くことが、重要肝心なことなのです。
虫歯によって起こる病気
いわゆる虫歯菌のミュータンス菌は、体内に入ると色々な反応を起こして、病気を起こしたりします。虫歯から起こりやすい全身的な病気としては貧血、微熱、ぜん息、リュウマチ、腎炎などといったものがあります。もちろん、こういった病気は虫歯以外の原因でも起こります。今、小児科で一番大きな問題は体質疾患によるリュウマチ熱、ぜん息、腎疾患などといったもので、虫歯菌も一役かっています。
ただし、こうした病気を起こすのは歯の根の先に病巣ができた段階で、最初のエナメル質や象牙質に穴が空いた程度では、絶対になりません。が、困ったことに子供では、虫歯の進行が非常に早くて、虫歯ができてからこの最終的な段階にまでいくのに、半年か1年くらいしかかかりません。ですから治療は出来るだけ早くしなければなりません。
虫歯の予防
いったいどのようにしたら、虫歯は予防できるのでしょうか。
一つは、虫歯菌を口の中から追放すること。
二つ目は、歯垢を完全に取り除く方法。食べたら磨く習慣を付ける。
三番目は、甘いものをむやみに与えないこと。
最後に、虫歯ができたらすぐに、治療すること。そのために、定期検診を怠らない。ついでに、フッ化物やシーラントで防壁を作ること。 こんなことが、今日、虫歯の予防手段として考えられていることです。よく考えてみると歯をきれいにするとか、甘いものの過食に陥らないとかは、歯の健康だけでなく、子供の身体にとっても非常に大事なことです。
ですから、全身の健康の増進という観点からみていけば、結果はもっと良くなるはずです、 かっては虫歯の予防というと「おやつ」のことばかりでしたが、最近はこどもの「しつけ」という全体の見地から、遠回りの様ですが、考え方が変わってきました。要するに、虫歯予防には生活の改善指導の要素が強くなってきたのです。
○虫歯予防の要点
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
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間食の正しい与え方 |
歯磨きの習慣 |
定期検診 |
早期治療 | フッ素塗布 |
歯磨き
大事なことは、きれいになればいい、ということです。磨き方は「ローリング法」とか「バス法」「スチルマン法」とかありますが、要は歯垢がなくなればいいのです。小さい子供たちには縦でも、横でも、斜めでも。ゴシゴシ少し強く磨くことを指導してください。そして、寝かせ磨きで必ず仕上げします。
歯磨きの週間を身につけるために
1.歯ぶらしになれることから
生え始め歯、歯ぶらしになれることから始めます。ゴムの歯ブラシを口に入れて嫌がらないようになればいいのです。
2.上下の歯がそろったら
ひざにあおむけに寝かせて、左手で軽く顎を押さえると歯が合わさります。手早く磨いてあげます。磨かれると言う感覚を優先させてやりすぎないように。一日一回
3.奥歯が生えてきたら、しっかりと
奥歯が生えてきたら、歯ぶらしの毛をきちんと表面に当てて噛む面、外側、内側とむらなく磨きましょう。
4.自分で磨く習慣も
お母さんの真似をして、自分で磨こうとしたり、格好だけは磨いているつもりだったり、そんな時はやりたい気分だけでも認めてあげます。下手でも繰り返すうちにだんだん習慣がみについてきます。口の中を磨き分けられるようになるのは、4才くらいからです。それまでは、かならず仕上げをしてあげます。5才児に歯磨きの調査をしたところ、朝、歯磨きをしている子供は152人中76人という結果がでました。
歯磨き便利品?
[歯磨き剤] :歯磨き剤には、研磨剤や洗浄剤などの主成分とともにフッ素などが、含まれているものがあります。けれども、歯ブラシのブラッシングだけで汚れをしっかり落としたほうが、むしろ積極的な予防策といえます。また歯磨き剤は、うがいができないうちは、吐き出せないので、結局飲み込んでしまいます。それに、香りや、清涼感があるために、しっかりブラッシングをしなくても“磨いた気分”になってしまいます。いずれにしても、赤ちゃんや幼児の頃は必要ありません。
[フッ素塗布] :フッ素に歯の表層に作用して酸に対する抵抗力を強める働きがあります。けれども、フッ素を塗ったからといって、あまいものをだらだら食べたり、歯磨きをおろそかにしては、元も子もありません。フッ素を塗って効果があるのは、規則正しい食生活や歯磨きの習慣があってこそ。フッ素に頼らない生活が一番です。ただ、食生活に注意し、歯磨きも心がけていても虫歯になりそうなときは、定期検診を受けながら塗布してもよいでしょう。
[パラチノース] :パラチノースは最近よく耳にしたり、店頭に商品として並ぶようになりました。工業的に砂糖を原料にして、これに微生物が作り出す酵素を作用させて作り出される甘味料です。虫歯の原因となるミュータンス菌の栄養源とならないので歯垢が生成されないと言うことになるのです。ですから、パラチノースは虫歯にならないという訳です。しかし、どの食品もパラチノースが甘味料という訳ではありません。だから規則正しい食生活の重要性は変わらないのです。
噛む
歯科医の最近の大きな問題のもう一つが、顎の異常です。 口の機能について整理すると、
1 | 2 | 3 |
---|---|---|
食べ物の取り入れ口 |
表情を作る、示す |
音や言葉を出す |
4 | 5 | 6 |
呼吸道 | 食べ物やものの 識別機能 | 物を挟む |
ということになりますが、ここで問題にしているのは、1と3の機能のそのまた一部ということになります。 食べ物を取り入れる機能は、噛む、咀嚼するなどの機能を示すものです。虫歯については口の機能とは別に考えていますが、虫歯があっては口の機能も正常には働きません。ですから別の項として掲載していますが、切っても切れない関係にあるのです。今日の子供たちは空腹感を味わったことのない、食意識の乏しい子が増加しています。噛むことにまつわる多くの問題は、子供の食生活様式と深く関わりながら口の中の変化にとどまらず、子供全体のおかしさや歪として表れてきています。そこでもう一度「歯の役割をふくめた噛むことの意味」を考えてみます。
最近の歯科疾患の傾向は、虫歯の現象に比べ、不正皇咬合、歯周囲疾患、顎関節疾が増えてきました。どの場合も噛むという行為に非常に密接な関係があります。噛むことがどんなに大切なことか次の点があげられます。
口腔との関連
顎の関節症を予防する ・・・噛むとき顎の関節がカクカク鳴る。関節が痛い。などの関節症が小さい頃からの噛む力に影響される。
虫歯や歯周病を予防する ・・・よく噛むと食べ物に含まれる繊維や筋肉の動きで歯の表面がきれいになる。また、唾液で糖分が薄くなる。歯茎が強くなり、歯槽膿漏にかかりにくい。
歯並びを良くする ・・・顎の発達が助けられて歯列不正になりにくい。
その他との関係
姿勢との関連では ・・・背柱を正常な位置に保つ。姿勢をよくする。子供の側湾症を予防。骨盤の発育不良を予防。骨盤の発育不良を予防。
消化器との関連では ・・・食べ物の消化。栄養の吸収をよくする。
その他の関連では ・・・情緒を安定させる。脳を刺激し、活力を与える。顔の表情が生き生きする。
現代人は「噛む」という自然のブラッシングを捨てて、虫歯や歯周病になりそのあげくに噛むことができなくなっています。歯ブラシは、虫歯や歯周病には役立ちますが、発育不全には役にたちません。子供の虫歯は発育不全の警告なのです。「噛むこと」は全身の健康法なのです。毎日の食事をちょっと気にしてみてください。
言葉の発達と噛む力
噛むことの退化によって顎の骨、歯、筋肉を退化させる結果となりましたが、その退化傾向は同調している訳ではなく、アンバランスな状態にあります。つまり、口の役割が協調的に発達していないために言葉を話す力も発達しないと言うことになります。発音の誤りの例をあげてみます。
〈省略〉「おかーさん」が「おあーさん」、「きりん」が「きいん」のようにある音節が母音になってしまう。
〈置換〉「かめ」が「ため」「さかな」が「たかな」のように、音節が全く違う音節になってしまう。
〈ひずみ〉小学生以上の発音の誤りは大半がこの「ひずみ」です。これは、ある音において日本語ではないひずんだ発音になるものです。
「でんち」の「ち」が「き」にちかくて、「しろ」の「し」が「ひ」や「き」に近い。
発音は咽喉、舌、歯、歯茎、唇、鼻腔などの諸器官の発達を大きな条件としています。この機能がどれも発達していなければ正しい発音ができないのです。 特に舌の動きは大切で、この働きも噛むことによって育つのです。小学生になっても発音が正しくできない場合は障害がないならば、色々な食品を何でも好き嫌いしないでよく噛んで食べる訓練が必要です。
発音の土台となる敏速に動く舌の機能を育て、しっかりした発音の力を身につけさせる為に、食生活のあり方をもう一度見直してみましょう。このように、噛むことは、健康的に生きることにつながります。口の機能は生命の維持ということでも、一番始まりの部分なのです。
手
人間の手はいったいどんな役目、役割をしているのでしょうか。手はどこから進化しどんな形で現在の手となったのでしょう。まず手から話す前に人類の歴史からお話ししましょう。 人間の祖先はいったいどんな経路を辿って進化してきたのでしょう。
バクテリアの時代、海の時代、魚類の時代、両生類の時代、哺乳類の時代、人類の時代、のようになります。 植物には動きがありませんが動物は移動することが出来ます。植物は地に根を出してその環境に適した状況に少しづつ少しづつ変化してきました。動物も同じ様に環境によって変化してきたのです。いや、変化している状態が現在もつきることなく続くと思います。哺乳類の出現は、人類にとって欠くことの出来ないことでした。哺乳類無くして人類の出現はあり得ません。
ヒトデ、貝など海の生物の時代は生物の行動半径はきわめて狭くそのため環境による進化はあまりみられませんでした。魚類の時代になりますと、行動半径が広くなり海中に適した魚類から徐々に陸上にあがり、海と陸上の両方で生活できる動物が現れ、しだいにその環境に合った哺乳類が出現しました。哺乳類は環境を的確にとらえ常に進化の道を辿り人類の出現がなされました。前にも述べましたが、行動範囲が広くなればなるほど進化が進み、その環境に適した動物が出現してきます。
サルから進化した人類
哺乳類は、いろいろな枝にわかれて適応拡散していますが、そのうちの1枝が、実はサルなのです。サルという動物はあまり目立たない生活に入り込んだものです。他の動物の場合、例えばキリンは非常に首が長い(特殊化)し、ウマは走ることの達人です。キリンは首が長いので高い木の葉は食べやすいが地面にある物は食べづらい。また、ウマのからだというものは、走るのに適した体つきになっているのです。一般の哺乳類は、それぞれ特徴があります。
特に、原始的なサルはどうでしょう。きわだった特徴はありません。それはあまり特殊化していないからです。ある環境に対して特殊化しますと、その場では大変うまく生き延びることが出来ます。しかし環境は、必ずいつも同じ状態であるとは言えません。ところが非特殊化動物は、その環境には特に合っていなくても、次の環境には、また生き延びることが出来る訳です。
サルは森や林に住み人類へと進化しました。ではどうしてサルが森や林に住み着いたのでしょう。 それは下記のような事が考えられます。
1.森には他(草原、砂漠、平原)に比べて食物がたくさんあります。木の実、木の皮、葉、鳥の卵など贅沢をしなければ十分生活出来ます。食べ物が豊富と言うことは動物にとりまして大変具合の良いところです。
2.外敵から身を隠すのに最適な所。自分より強い動物に襲われた場合、木の影に隠れたり、草むらに身をひそめれば外敵から身を守ることができます。
3.木に登ることを覚えた、つまり木に登るには爪で木の皮をひっかけて登るか、木の枝をつかんで登るかのどちらかです。
つまりサルは自然にうまく順応した生活の知恵を発揮して自然を友達のように自然の中にとけこんでいったのです。つまり木に登ることよりも手を使うことを覚えたのです。
手のできるまで
魚の動きを見ますと、身体全体を使って尾を左右に動かして水中を泳ぐのです。魚は尾びれを降ることによって前進しているのです。尾びれを振るということはどんなことなのでしょう。魚の胴体の筋肉を左右に動かすことです。魚には背びれ、尾びれ、胸びれ、腹びれがありこのヒレによって前後左右、上下のコントロールをしているのです
つまり、前進運動器にも二つ種類がありまして主前進運動器、副前進運動器に別れる訳です。魚の場合主前進運動器は胴、副前進運動器が背びれ、尾びれ、胸びれ、腹びれにあたります。
そして陸上に出ますと、トカゲなどは手足が付いていて魚のように背びれ、尾びれ、腹びれがありません。これは手・足を左右交互に出して進みます。つまり赤ちゃんのハイハイによく似た歩き方をします。さらに主前進運動器が手足にかわり、胴体が副前進運動器となったわけです。手と足はよく似た動きをしておりますが、両者は異なった動きをしています。それは、前足が地面を引き寄せる役、後ろ足は蹴る役をはたしているということです。
このことは、人間に置いても同じです。というのは前足というのは、曲げる力の方が大きいのです。人間の手も、握る力のほうが強く、後ろ足は曲げる力より伸ばす力のほうが強いのです。
次の段階が哺乳類です。哺乳類は四肢が著しく大きくなってきます。それと同じにこの四肢は前後に動かします。これで前進運動をする訳です。哺乳類の段階になりますと、前進運動は分業の一つになり主として四肢がこれにあたります。体の中には、その際働かないものもいろいろあります。つまり私達の身体も分業が進んで、足が前進運動で、手は前進運動の役目を失ってきています。
道具を使う手
道具を使うには手が使えなくてはなりません。手を使うには、親指が大きく影響している訳です。リスなどは物を持って食べることは出来ますが、手を使って物を使うと言うことは出来ないのです。しかしサルに関しては手で物を持って食べることは出来る。また手の届かない所では、棒などを使って食物などを取ることが出来ます。と云うことはサルに関しては道具を使うことが出来ます。
道具を作る手
石器時代の人類は石で石器を作りました。その石器で鳥や獲物を狩猟したわけです。しかし、石器は硬くその石器を作るために、石でその石器を作りました。つまり道具を作るために道具を用いたのです。これらの道具・製作は手がやりのけたのです。そして現在では道具が道具を作る時代へと人類は進歩しました。しかし手が自由に使えたら道具が作れるかと言われても、そうではないと思います。手と脳のかかわりも大切な関係にあります。
人間の手のしくみとはたらき
● 骨の発達
手の骨は関節でつながり、筋肉が伸び縮みして指を曲げ伸ばしできるようになっています。手の骨は図のように8個の手根骨、これと隣接した2個の長骨5個の中手骨と14個の指骨からできています。
このうち手根骨は誕生時からありますが、これは軟骨でレントゲンの映像には映りません。この軟骨は年令が進むにつれ骨に変わって(骨化)いくのです。
● 感覚器官
昔から主な感覚には5種類あるといわれている。視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚このうち手に関わりのあるのは触覚である。しかし皮膚に関する感覚はこれだけではない、手の皮膚は手を包んで内部を保護しているだけではなく、外環境との接触面となっていて外環境の変化を受け止めるための受容器の種類がたくさんあります。 手の感覚だけで5種類あります。
1.皮膚感覚 物の表面のざらざら、すべすべ、なめらかさ
2.温度感覚 熱い、ぬるい、冷たい、暖かい
3.圧感覚 軽い、重い
4.痛み感覚 痛い
5.運動感覚(第6感)触覚と筋肉感覚の同時的な助けによって、実際の物に手で触って物体を知覚する。
手が探索に有用な器官であるなら、身体のどの部分より、機械的刺激に敏感である。
表1.一見しておわかりのように指先がもっとも敏感な場所で、顔、足の順になります。
表2.細い棒で圧迫を加えたときの力で値を表しています。圧に最も敏感なのは顔面、腹部背中、肩、次が指になります。
指は触覚には敏感であるが、圧覚には鈍いことがおわかりになりましたでしょうか。
幼児が成長の過程で感覚刺激が与えられないと、正常な機能の発達が阻害されることがよくあります。よく知られているのは、視覚系で生後しばらく物が見えない状態が続くと、例え視覚系が正常でも失明してしまいます。生まれてから人で5年、サルで1年半、猫で4,5日がこの失明のおこる限界で、これより以前にものがみえない状態が続くと失明してしまいます。また哺乳類で授乳期に母と子の社会的接触を断ったり、子供だけを隔離して育てたりすると、正常な脳と行動の発達がそこなわれて首を一定方向へ振りつづけたり、身体を揺すり続けたり、指や手をかんだり、しゃぶったりして、異常な行動がおこったりします。以上のように感覚器官が育つ時に、感覚器官を必要に応じて刺激しないとその感覚が麻痺してしまい、しいては正常な感覚器官が育っていきません。
握る
「オギャー」と、産声をあげたときの赤ちゃんは両手をにぎりしめ腕をふるわせています。その赤ちゃんに触れると、更に強く握りしめます。しかし生後2ヶ月もたつと、刺激がないのに握り続けることがなくなり、自分で握ったり広げたりするようになり、赤ちゃんの「にぎにぎ」のような運動は、赤ちゃんが握りたくて握っているわけではないのです。
つまり自分の意志で握っているわけではなく、無意識的運動である。それに対して自分の意志で行う行為を意識的運動と呼びます。赤ちゃんの「にぎにぎ」は生まれ付き握るしくみがあるからおきるもので、手の皮膚に刺激が与えられたときに手を握る反射の仕組が強調されて出現したものです。赤ちゃんの身体は成長して行くにつれて神経系も発達していき、生まれ付きそなわっている反射メカニズムの上に、意識的運動のメカニズムが発達していき、やがて幼児は必要なときに、手を握る意識的運動をする事を覚えていきます。
意識的運動で手を使うようになった人間は、自分の生活をより向上させるために道具を作り、道具を使う手であり、あるいは手で合図をしたり、手で言葉を語ったりする訳で、この点が他の動物とは違った所でしょう。
つかむとつまむ
人の手の運動の基本はものを「つかむ」ことと「つまむ」ことです。乳児は乳を飲みながら、母親の乳房を、手でつかんだり、髪の毛を引っ張ったり、耳たぶをもて遊んだり、手に触れる物をさわったりつかんだりします。
いますこし大きくなりますと「つかむ」は5本の指を曲げてものを握り持つこと、「つかむ」動作は比較的大きい物を要求しています。又「つまむ」は(鼻をつまむ)のように数本の指の爪先で物をはさみ持つこと、「つまむ」動作のためには、豆、米つぶなど小さなものが必要です。又、手首を回す動作もあります。手首を回すことにより、手首の回転がスムーズに鳴り、又、手首をかえす動作もあります。
このように手の運動には、手の屈曲、回転、伸展と5本の指の屈曲、伸展、内転、外転、対抗、などからなっておりどんな複雑な手の運動でもこの組み合わせで手の運動を助けています。手で物をつかめるのは、どんな動物がいるでしょうか。手に5本の指を備えているのは霊長類だけであり、このように指の発達とつかむことには密接な関係があります。
利き手と脳
利き手が右か左かを決めるためには、箸、鉛筆を使ってもらえばすぐにわかります。まれに右でも左でも箸や鉛筆を使える人がいますがどちらも同じ様に器用に使えることはないのです。両手を使える人が両手利きと言われていますが、利き手は必ずどちらかに決められています。左利きは少数ですが最近は左利きが増えている状況にあるのは事実です。
乳児は右も左も関係なく箸なり、スプーンを使っても右も左もまだ定まっていませんが、幼児になるとだんだんに右利き左利きと定まってきます。利き手の矯正は年をおうごとに困難になりますので、乳児からの箸なり、スプーンの持ち方を気を付けてあげるのが肝心ではないでしょうか。また無理に矯正すると子供によっては弊害がでてきます。
では利き手とそうでない手の運動の違いは何でしょうか。器用さが違っているのです。この違いは量的な違いで質的な違いではありません。手の作業は連続で行う多くの運動で決まるもので利き手以外の手でも訓練をすれば利き手より起用になれます。
では利き手はいつごろから始まっているのでしょうか。赤ちゃんの運動を注意深く見ると生後1週ですでに反射機能に左右の差のあることがわかります。赤ちゃんの唇の端に手を触れると、赤ちゃんは触れられた側に首を向けます。右の方に触れたときの方が起こりやすい、また舌の先に刺激剤を与えると左端に与えるよりも右端に与えた方が首が回りやすいです。多くの赤ちゃんは、右の方へ首を向けている時間が圧倒的に長いようです。
右脳と左脳の分業があり、その結果、手の使い方に左右差のあることから、手を使うときには、右と左の特徴を使い分ける方がよいのです。利き手は言語を媒介する機能、ことばで考えたことを実現する機能、単純につかむ、つまむ、にぎる事から、書くことまでの機能で、非(利き手は)手探り、空間認知、さらにそれを手がかりとして実現する機能に使われるべきであり、我々の脳は左右に特殊化が行われているのでそれに都合のよいように手を使わなければなりません。
器用不器用
人間と特性は働くことです。それは自分の周辺にある環境に対して積極的に働きかけることによって器用にもなれるのではないでしょうか。器用、不器用は個人的問題のように思えますが、物を媒体として、社会固有の使用法があり、各個人は、訓練という形で、その使用法を、体得していくものです。しかし、今日ではそういう訓練をなおざりにされているようです。
最近子供たちがナイフをよく使えない、ぞうきんがよくしぼれない、箸がうまく持てない、といろいろ言われますが、ナイフは危ないから大人が持たせないという大人の勝手で与えないのではないでしょうか。ナイフを持ったからといって即危険と考えるより、危険なものを使うことによりはものの持つ危険性が実感として、子供たちによく理解されるのではないでしょうか。ナイフで鉛筆を削ることは、指先の訓練にとてもよいのです。そこには微妙に指の使い方、力のいれ方、鉛筆を削るための集中性など子供にとっては大変必要な訓練にふさわしいものです。
人間としての基本的手の訓練を、常に心がけていることが、大切なのです。日本には、古くから伝わる伝統技術があります。これを支え、実践するのは手です。私たちの身近なものを一つ例にとってみても、ひもを結ぶことは物体と物体を結合させることであり新しい道具を作り出す基本的作業なのです。
これは、指の訓練であると同時に、頭の訓練でもあります。手は常に試練に耐えるべきものであり、決してかばいすぎてはいけません。手の持つ能力を見極め、手の持つ本来の様々な役割を発揮させることがとても大切です。そして私たちの生活を支え、大きな位置を占める手を信頼していくことを忘れてはならないでしょう。
人間は生まれながらにして、手を使えるような身体になっています。私たちはその手を充分に活用しなければ、恥ずかしい思いもします。前の文でもお話しておりますが、赤ちゃんの時ハイハイをさせることにより身体全体を動かし、手は手の役割、足は足の役割を具わっておりハイハイも赤ちゃんの成長の上では必要なことなのです。ハイハイの時期にハイハイをしない子供は同年令の子供に比べ見劣りが見受けられます。
1才の前後になりますと、歩行が始まりますが、ハイハイの練習が歩行の為の前段階になるのです。 手の訓練は手の動きと、感覚の訓練により、脳を刺激し子供の手の成長を助けるのです。 では自分の家庭でも皆さんのお子さんの手でどんな訓練が出来るのでしょうか。
腕の訓練
● クレヨンマジックを使って描く
● 体操みたいに腕を回す(リズム体操等)。
● 意識して物を持ち運びする。
(重いもの、軽いもの、壊れやすいもの、こぼれるもの)
● 日常生活の中で
● 手を上手に洗う
● ハミガキ、タオル・雑巾等を絞る、ほうきを使う。
● 洋服の着脱(ボタン・スナップがけ)
● 洗濯物などをたたむ(大人と一緒に)
● 布団をたたむ(子供用のもの)
● 手を使って遊ぶ、玩具(おはじき、お手玉、こま)
指先の訓練
● 感覚(皮膚)・紙やすり、下敷き、木の板、タイル、布、など家庭にあるもので実際に子供に指の先で触れさせてください。
● 橋を使う、鉛筆、クレヨン、サインペン等使って書く。
● ハサミを使う。
● 折り紙(正方形、長方形、円形)
● ひもを結ぶ・通す、あやとり(伝承遊び)
● 物をつまむ(豆、木の実)
● 考えながら手を使う(おはじき、ジグソーパズル)
身近な材料、廃品もその材質、形を考えて活用するとよいでしょう。
土踏まず
『今の子供たちは、体力が低下している。』 『腕力の不足が目立つ。』 これらの発言は、経験的にいわれている事が多いのですが、子供たちの足のことを調べてみると、はっきりその事がわかります。それは今、子供たちに偏平足が増えているということです。 赤ちゃんの足の裏は、土踏まずのない偏平足ですが、歩き始めて手足を使うようになると、やがて土踏まずができてきます。ふつう、土踏まずの形成は2才頃から始まり、6才頃までに90%以上の子供に形成されるのが普通です。
土踏まずの役割はといいますと
1)直立した時のバランスをよくする。
2)つま先で地面を蹴るときにバネの働きをする。
3)着地する時の衝撃をやわらげるクッションになる。
3つの役 割があり、これがあってこそ正しい二足歩行ができ、長距離を歩いても疲れにくくなります。また、当然の事ながら運動能力についても、土踏まずができている子供のほうが優れています。 しかし、最近は土踏まずの形成率が低くなっています。高度成長に伴って自家用車が普及して、子供たちが歩かなくなった。ビルや住宅が立ち並び遊ぶ場所がなくなった。等の理由から土踏まずの形成率が低下したものと考えられます。
土踏まずが形成されていないと、どういう困った事があるかと言いますと、その1つとして運動能力の劣ることです。土踏まずが形成されると、足裏の第一指の付け根とかかとの間の骨がアーチ形をつくります。歩いたり、走ったり、運動したりするときに、この足裏のアーチがバネの役割をしているのです。
足裏のバネが発達していれば、跳んだり、はねたりの能力が高まりますし、降りるときの衝撃をやわらげる働きをもしています。土踏まずが形成されていない子供は、立ったときに体の重心がかかとよりになります。ほとんどの運動は、前方への動きが中心になりますから、重心が前方にあったほうが動きがスムーズに行われます。
したがって、土踏まずが形成されて重心が前方にある子供の方が、運動能力は優れています。 また、土踏まずのアーチ形は、体のバランスを保つうえでも重要な役割があります。土踏まずが形成されている子供に比べて、土踏まずの形成されていない偏平足の子供は、身体動揺範囲が広い。つまり、偏平足の子供は直立したときに、頭の位置の揺れ動く範囲が広いということです。それだけ体のバランスのとり方が下手だということです。さらに土踏まずが形成されることで筋肉も発達し、運動能力も高まってバランスのとり方もじょうずになります。
このように土踏まずは子供にとって、重要な事でありますので子供の生活を見直して、走行すること、戸外での運動など心がけ、しっかりとした足をつくってあげて下さい。
子どもの靴選び
靴は子供の足にとっていろいろな効果があります。まず、危険なものからの保護。冷たいものからの保湿。硬いアスファルト、コンクリートからのクッション等です。
ヨチヨチ歩きの頃から靴は長い付き合いが始まります。体の発達が著しく、足の運び方もしっかりしてくる幼児期は、とくに足に合った靴をはかなければいけませんが、『買ってもすぐに小さくなってしまうから』と大きめの靴を履かせることが多いです。合わない靴は、単に足によくないだけでなく、体全体の健康にも悪影響を与えます。
合わない靴を履いている場合、歩いているうちにかかとから外れたり、立っている時はつま先に余裕があるのに、歩くと足が前にずれて指先が痛くなったりしてしまう事がよくあります。
足の指をしっかりふんばって地面を捕らえて歩くという最も大切な動きが妨げられるわけです。こうした靴をはいていると、子供は活発に動かなくなったり、歩く姿勢が悪くなったり、大人になった時、腰痛や膝の痛みを抱える危険性があります。
では、どういう靴を選んだらいいのか、その原則を箇条書きにします。
1)親指の付け根と小指の付け根の、左右に一番出っ張っているところを結ぶ線の足の回りを、ウイズあるいは足囲といいます。この部分が足とピッタリとあっている事。
2)かかとのカーブと足が一致して、自然にフィットして、かかとからウイズの部分までが、ピタリと足に合って、つま先に5~10mmの余裕があるものが、最適のサイズです。
3)足指が締め付けられたり、圧迫されるものは好ましくありません。
4)靴の中底が足の裏に吸い付くようにフィットして土踏まずの部分がほどよく盛り上がっていることが肝心で、圧迫したりすき間があいているのは足に合っていません。ただし、スポーツ用の靴ではすき間が必要です。
5)足の甲がきつかったり、くるぶしに当たったりするものは好ましくありません。
6)かかとを上げて指を曲げた時、その部分が柔らかく曲がり、靴底の曲がる位置が指の付け根と一致していて、しかも曲がりやすいものが大切です。
7)まっすぐ立った時に、安定していて靴底が床にピタッとついているもの。
子どものスピードと大人のスピード
大人と子供が一緒に手をつないで歩く事があります。 しかし、一緒に歩くためには、どちらかがスピードを合わせて歩いているはずです。どちらがどちらに合わせているのでしょうか? 大人の歩く歩幅は、68.5cmで、走る歩幅は、114.4cmです。これにくらべて5才の子供の歩く歩幅は、47.3cm、走るときの歩幅は、80.6cmです。 また、秒速は、大人の歩く時は、1.47m、走るときは、3.4mに比べ、5才児の子供では、歩く時は、1.32m、走ると2.95mです。
したがって、大人と5才児の子供では、普通に歩くと1秒で15cm、1分で9mの差が出来てしまいます。しかも、大人が10歩歩く間に5才児は13歩以上歩いているのです。
「速く歩きなさい!」「何をぐずぐずしているの!」と怒っても、子供にはとうてい追いつけるものではありません。 一緒に走る時はなおさらです。1分間で、大人より子供が88mも後ろにいるのです。 構造的に未発達で、スケール的にも差があって、能力的にも未発達の子供たち。どちらが合わせてあげれば良いのでしょうか。
足の指を強化する遊び
● つま先歩き
つま先立って歩きます。かかとを上げて足指とその付け根だけで歩くので、足指を強化すると共に、足のアーチ型を形成している骨と、それを支えている筋肉や靱帯を強くします。又、つま先立ったときには、バランスを上手に取らないと倒れてしまうので、背筋が伸びて姿勢もよくなります。
● イモムシ歩き
直立して、足指を曲げながら、その力だけで前に進みます。足指に力を付けると共に、足全体を強化します。子供同士に競争をさせてみるのもいいでしょう。
● 足指綱引き
長さ50~60cmのひもを用意し、両端を結んで輪を作ります。子供は足を前に出して、向かい合ってすわり、輪型のひもを足の親指にかけ、引っ張りっこをします。左右の足をかえたり、違う指でもするといいでしょう。
さらに、ひもを足の親指と人さし指で挟んで、引っ張りっこをします。いずれも、足の指を強化します。
足器用さを養う遊び
● エンピツつかみ
床の上にエンピツをおいておいて、すわったまま、足指につかみ上げさせます。右足ができたら左足で。さらに立ち上がって、片方の足指でエンピツをつかみ上げ、それを手でとります。足指を強くし、器用さを養いますし、たってすれば、平衡感覚も育てます。
● 足指ジャンケン
足の指でジャンケンをしましょう。グーは、足の指全部を下に曲げる。チョキは、親指を上に、他の指は下へ曲げる。パーは、指を思いっ切り開きます。 初めはなかなか上手にできないでしょう。特にチョキは難しいので、パーと見分けがつかなくて、笑いを誘うかもしれません。しかし、だんだんじょうずになって、指の器用さが養われます。
足指と脚を強化する遊び
● つま先立ち屈伸
手を持ってもらって、つま先立ちし、かかとをつかないで、膝を曲げてしゃがみ、そのままつま先で立ち上がります。足指や脚、膝を強化します。手を離して行えば、平衡感覚を養うのに役立ちます。
● 足ジャンケン
足で行うジャンケンで、子供時代になさった経験をお持ちの方も多いと思います。
グーは、両足を閉じる。
チョキは、足を前後に開く。
パーは、足を左右に開く。
足や脚を強化するとともに、反射神経を養います。