乳幼児の世界
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●視力の発育
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子供の視力はいつごろ完成するのでしょうか?
図1は、視力がどんなふうに発育してくるかということを図に示したもので、生後1ヶ月では、明るい方を見るくらいです。3ヶ月では0.01〜0.02、生後6ヶ月では0.2〜0.25、2年では0.5〜0.6満3才から3才半くらいになると3分の2くらいが、視力1.0になります。でも平均的には、未だ0.7から0.8というのが大分あります。4才で、71%が、5才では、83%が1.0になります。視力の異常は大体10%ありますので、8割から9割が1.0になれば、みんな1.0といっていいでしょう。 すなわち生後3才くらいまでに、伸びる子はどんどん伸びていって、4才から5才でもう完成するわけです。大人は健康視力として1.0という視力を持っていますが、これは生まれたときからあるものではなく、4,5,6才くらいの年代でできあがるものなのです。
●子供の視力測定
視力をはかる視力表にはいろいろありますが、子供には、下図のようなランドルト環を使います。この環の切れ目の方角を答えてもらう方法です。検査に際して5個のなか3個正答できれば、視力が認定されます。これなら知能や経験に影響されないで測れます。
●子供の視力測定
●色覚の発育
視力は発育しますが、色覚も発育します。さらに弁色能という色を見分ける力も発育します。弁色能は赤ちゃんの時から十分備えているわけではなく、発育するのです。図3のように0才、4才、6〜10才、15〜18才と横軸に年令が書いてあり、縦軸に弁色能をとっています。 大人の正常レベルを100としますと、6才〜10才くらいで7割〜8割くらいまでできあがります。これは、生まれ付き持っているレベルと、さらに才能、理解力、経験などが加わって出来上がるのです。
●両眼視の発育
両眼視というのは、左右2つの目で同時にあるものを見て、頭のなかで1つのものとしてまとめる働きを言います。 この両眼視の働きも、視力同様発育します。最終的に、両眼視はどういう発育をして出来上がるかというと、それは距離感、立体感で、出来上がるのが4,5才です。 図4は、うさぎとねこの両眼視で、図5は人間の両眼視です。強い動物ほど前に目がついていて、後ろが全く見えません。 人間の両眼視は120度で、これができあがるのが、4才から5才なのです。 以上からいろいろな目の働きの発育は、6才までが勝負なのです。
●視力の発育を損なうもの
視力の発育を損なうもの 視力の発育を損なう原因は大別すれば以上のようになります。
(1)屈折異常によるもの
両眼の遠視及び乱視・・・・・・屈折性弱視
不同視・・・・・・・・・・・・・・・・・不同性弱視
(2)斜視によるもの
片目性・・・・・・・・・・・・・・・・・斜視弱視
(3)眼器質変化によるもの
片目の白内障、角質白斑
および眼瞼下垂・・・・・・・・・・廃用性弱視
遠視:これは、いろいろとトラブルを引き起こします。遠視は遠い光だけではなく、近くの光も網膜の後ろにピントが合うので、遠くも近くもピンぼけで、視力の発達を損ないやすいのです。しかも、遠視は本来生まれ付きが多いので、生まれたときからピンぼけなのでなおさらです。
さらに、視力の発育を損なうだけでなく、目を内に寄せる内斜視も起こします。この遠視による内斜視は、メガネをかけて治します。
近視:遠視と違って、網膜より手前にピントがいきます。遠くの光はピントが合わないが、近くの光はちょうどピントが合うところがあるので、メガネを外しても、近くのものは読めます。(屈折性近視)赤ちゃんは、わりに近くの物体を見ながら発育します。ですから近視は、視力の発育に悪影響を与えないのです。
不同視:右目と左目と度が違うものを言います。
例えば、右目が正視で、左目に遠視があるとします。そうすると、良い方の目ばかりで物を見ますから、良い方の目はちゃんと発育して1.2ですが、悪い方は発育が後れて、0.1としますと、6才を過ぎてから発見し、メガネをかけても0.1か0.2しか見えません。発見が遅れたからです。
この図は昭和40年の大阪私立小児センターの患児のデータです。遠視と乱視がいっぱいあります。3才〜5才も遠視と乱視が大変たくさんあります。近視は大した数ではありません。視力の発達から考えると、3才〜5才までですからこの時期が大切なのです。この遠視、乱視というのは、ほとんどが先天性です。これと不同視が視力の発達に屈折異常としてトラブルになるのです。又、これは6才までに非常に多く、発育から考えると6才ぎりぎりにメガネを合わせていては遅いのです。
●視力発育と年令の関係
<例>1才の頃、まぶたにやけどをして、1ヶ月眼帯をしていた子供が、小学校に入り、視力が悪いのに気が付き強制したが直らなかった。この図7は、視覚の発育とその発育を損なう遮へいをしたものに答える機敏さは100%ダメージを受けます。
●早期発見のための視力検査
図を表示する
最初の方で出ましたランドルト環で行います。幼児は“ランドルト環字ひとつ視力検査法”という方法が適しています。 距離は5mで行います。3才〜4才ではなかなかきっちり答えてくれませんので0.6ぐらいで正常範囲に見て、4〜5才では0.7、5〜6才で0.8、学校に入る頃には1.0でスクリーニングするのが良いでしょう。 答えるほうは、上下、左右となかなか答えにくいので同じランドルト環を、ハンドルのようにして切ってこれを回して答えさせるとやさしく出来ます。 (図8参照)