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虫歯は小児病です。虫歯のよく発生する時期が人の生涯に二度ほどあります。まず、4才前後(2才半くらいから始まり、3〜4才がピークになります)が第一の時期です。次が13〜14才の思春期頃にまたピークを迎えます。が、この時期の原因を正せば、乳歯の虫歯と大きく関わってきます。 | |||||||||||||
虫歯はいったい何でおこるのでしょうか。結論的に言えば細菌による感染性の病気ということになります。いわゆる虫歯菌という微生物によって起こる病気ということです。しかし、虫歯は部位によって病原菌が違います。
噛み合わせの部分・・・は乳酸杵菌という乳酸菌をつくる菌とストレプト・ミュータンスという連鎖球菌が原因菌です。 |
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隣り合った歯面・・・・ミュータンス菌だけで起こります。
歯の生え際・・・・・・オドントマイセス・ビィスカス菌で比較的年令の高い人に多く歯槽膿漏と関係する。 |
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以上のような原因がありますが、いずれにしろ虫歯の主役は、歯の汚れとミュータンス菌です。 | |||||||||||||
歯の汚れとは、いったい何なのか。大きくわけて3つあります。 | |||||||||||||
1食べかす・・・肉の繊維、魚の皮、野菜の切れ端など。
2歯垢・・・・・歯のへり、歯間などに付く、白いペースト状のもの。虫歯の原因 3歯石・・・・・歯垢が唾液の石灰分で固まったもの。歯槽膿漏の原因 (ただし、こどもには少ない) |
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歯の汚れは虫歯の原因です。磨く時も、歯垢をとるために磨くことが、重要肝心なことなのです。 | |||||||||||||
いわゆる虫歯菌のミュータンス菌は、体内に入ると色々な反応を起こして、病気を起こしたりします。虫歯から起こりやすい全身的な病気としては貧血、微熱、ぜん息、リュウマチ、腎炎などといったものがあります。もちろん、こういった病気は虫歯以外の原因でも起こります。今、小児科で一番大きな問題は体質疾患によるリュウマチ熱、ぜん息、腎疾患などといったもので、虫歯菌も一役かっています。ただし、こうした病気を起こすのは歯の根の先に病巣ができた段階で、最初のエナメル質や象牙質に穴が空いた程度では、絶対になりません。が、困ったことに子供では、虫歯の進行が非常に早くて、虫歯ができてからこの最終的な段階にまでいくのに、半年か1年くらいしかかかりません。ですから治療は出来るだけ早くしなければなりません。 | |||||||||||||
いったいどのようにしたら、虫歯は予防できるのでしょうか。
一つは、虫歯菌を口の中から追放すること。 二つ目は、歯垢を完全に取り除く方法。食べたら磨く習慣を付ける。 三番目は、甘いものをむやみに与えないこと。 最後に、虫歯ができたらすぐに、治療すること。そのために、定期検診を怠らない。ついでに、フッ化物やシーラントで防壁を作ること。 こんなことが、今日、虫歯の予防手段として考えられていることです。よく考えてみると歯をきれいにするとか、甘いものの過食に陥らないとかは、歯の健康だけでなく、子供の身体にとっても非常に大事なことです。ですから、全身の健康の増進という観点からみていけば、結果はもっと良くなるはずです、 かっては虫歯の予防というと「おやつ」のことばかりでしたが、最近はこどもの「しつけ」という全体の見地から、遠回りの様ですが、考え方が変わってきました。要するに、虫歯予防には生活の改善指導の要素が強くなってきたのです。 |
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大事なことは、きれいになればいい、ということです。磨き方は「ローリング法」とか「バス法」「スチルマン法」とかありますが、要は歯垢がなくなればいいのです。小さい子供たちには縦でも、横でも、斜めでも。ゴシゴシ少し強く磨くことを指導してください。そして、寝かせ磨きで必ず仕上げします。 | |||||||||||||
1.歯ぶらしになれることから 生え始め歯、歯ぶらしになれることから始めます。ゴムの歯ブラシを口に入れて嫌がらないようになればいいのです。 |
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2.上下の歯がそろったら ひざにあおむけに寝かせて、左手で軽く顎を押さえると歯が合わさります。手早く磨いてあげます。磨かれると言う感覚を優先させてやりすぎないように。一日一回 |
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3.奥歯が生えてきたら、しっかりと 奥歯が生えてきたら、歯ぶらしの毛をきちんと表面に当てて噛む面、外側、内側とむらなく磨きましょう。 |
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4.自分で磨く習慣も お母さんの真似をして、自分で磨こうとしたり、格好だけは磨いているつもりだったり、そんな時はやりたい気分だけでも認めてあげます。下手でも繰り返すうちにだんだん習慣がみについてきます。口の中を磨き分けられるようになるのは、4才くらいからです。それまでは、かならず仕上げをしてあげます。5才児に歯磨きの調査をしたところ、朝、歯磨きをしている子供は152人中76人という結果がでました。 |
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[歯磨き剤]:歯磨き剤には、研磨剤や洗浄剤などの主成分とともにフッ素などが、含まれているものがあります。けれども、歯ブラシのブラッシングだけで汚れをしっかり落としたほうが、むしろ積極的な予防策といえます。また歯磨き剤は、うがいができないうちは、吐き出せないので、結局飲み込んでしまいます。それに、香りや、清涼感があるために、しっかりブラッシングをしなくても“磨いた気分"になってしまいます。いずれにしても、赤ちゃんや幼児の頃は必要ありません。 | |||||||||||||
[フッ素塗布]:フッ素に歯の表層に作用して酸に対する抵抗力を強める働きがあります。けれども、フッ素を塗ったからといって、あまいものをだらだら食べたり、歯磨きをおろそかにしては、元も子もありません。フッ素を塗って効果があるのは、規則正しい食生活や歯磨きの習慣があってこそ。フッ素に頼らない生活が一番です。ただ、食生活に注意し、歯磨きも心がけていても虫歯になりそうなときは、定期検診を受けながら塗布してもよいでしょう。 | |||||||||||||
[パラチノース]:パラチノースは最近よく耳にしたり、店頭に商品として並ぶようになりました。工業的に砂糖を原料にして、これに微生物が作り出す酵素を作用させて作り出される甘味料です。虫歯の原因となるミュータンス菌の栄養源とならないので歯垢が生成されないと言うことになるのです。ですから、パラチノースは虫歯にならないという訳です。しかし、どの食品もパラチノースが甘味料という訳ではありません。だから規則正しい食生活の重要性は変わらないのです。 | |||||||||||||
歯科医の最近の大きな問題のもう一つが、顎の異常です。 口の機能について整理すると、 |
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ということになりますが、ここで問題にしているのは、1と3の機能のそのまた一部ということになります。 食べ物を取り入れる機能は、噛む、咀嚼するなどの機能を示すものです。虫歯については口の機能とは別に考えていますが、虫歯があっては口の機能も正常には働きません。ですから別の項として掲載していますが、切っても切れない関係にあるのです。今日の子供たちは空腹感を味わったことのない、食意識の乏しい子が増加しています。噛むことにまつわる多くの問題は、子供の食生活様式と深く関わりながら口の中の変化にとどまらず、子供全体のおかしさや歪として表れてきています。そこでもう一度「歯の役割をふくめた噛むことの意味」を考えてみます。 最近の歯科疾患の傾向は、虫歯の現象に比べ、不正皇咬合、歯周囲疾患、顎関節疾が増えてきました。どの場合も噛むという行為に非常に密接な関係があります。噛むことがどんなに大切なことか次の点があげられます。 |
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顎の関節症を予防する・・・噛むとき顎の関節がカクカク鳴る。関節が痛い。などの関節症が小さい頃からの噛む力に影響される。 | |||||||||||||
虫歯や歯周病を予防する・・よく噛むと食べ物に含まれる繊維や筋肉の動きで歯の表面がきれいになる。また、唾液で糖分が薄くなる。歯茎が強くなり、歯槽膿漏にかかりにくい。 | |||||||||||||
歯並びを良くする・・・顎の発達が助けられて歯列不正になりにくい。 | |||||||||||||
姿勢との関連では・・・背柱を正常な位置に保つ。姿勢をよくする。子供の側湾症を予防。骨盤の発育不良を予防。骨盤の発育不良を予防。 | |||||||||||||
消化器との関連では・・・食べ物の消化。栄養の吸収をよくする。 | |||||||||||||
その他の関連では・・・情緒を安定させる。脳を刺激し、活力を与える。顔の表情が生き生きする。 | |||||||||||||
現代人は「噛む」という自然のブラッシングを捨てて、虫歯や歯周病になりそのあげくに噛むことができなくなっています。歯ブラシは、虫歯や歯周病には役立ちますが、発育不全には役にたちません。子供の虫歯は発育不全の警告なのです。「噛むこと」は全身の健康法なのです。毎日の食事をちょっと気にしてみてください。 | |||||||||||||
噛むことの退化によって顎の骨、歯、筋肉を退化させる結果となりましたが、その退化傾向は同調している訳ではなく、アンバランスな状態にあります。つまり、口の役割が協調的に発達していないために言葉を話す力も発達しないと言うことになります。発音の誤りの例をあげてみます。 | |||||||||||||
〈省略〉「おかーさん」が「おあーさん」、「きりん」が「きいん」のようにある音節が母音になってしまう。
〈置換〉「かめ」が「ため」「さかな」が「たかな」のように、音節が全く違う音節になってしまう。 〈ひずみ〉小学生以上の発音の誤りは大半がこの「ひずみ」です。これは、ある音において日本語ではないひずんだ発音になるものです。「でんち」の「ち」が「き」にちかくて、「しろ」の「し」が「ひ」や「き」に近い。 |
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発音は咽喉、舌、歯、歯茎、唇、鼻腔などの諸器官の発達を大きな条件としています。この機能がどれも発達していなければ正しい発音ができないのです。 特に舌の動きは大切で、この働きも噛むことによって育つのです。小学生になっても発音が正しくできない場合は障害がないならば、色々な食品を何でも好き嫌いしないでよく噛んで食べる訓練が必要です。 発音の土台となる敏速に動く舌の機能を育て、しっかりした発音の力を身につけさせる為に、食生活のあり方をもう一度見直してみましょう。このように、噛むことは、健康的に生きることにつながります。口の機能は生命の維持ということでも、一番始まりの部分なのです。 |