乳幼児の世界
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土踏まず
『今の子供たちは、体力が低下している。』 『腕力の不足が目立つ。』 これらの発言は、経験的にいわれている事が多いのですが、子供たちの足のことを調べてみると、はっきりその事がわかります。それは今、子供たちに偏平足が増えているということです。 赤ちゃんの足の裏は、土踏まずのない偏平足ですが、歩き始めて手足を使うようになると、やがて土踏まずができてきます。ふつう、土踏まずの形成は2才頃から始まり、6才頃までに90%以上の子供に形成されるのが普通です。
土踏まずの役割はといいますと
1)直立した時のバランスをよくする。
2)つま先で地面を蹴るときにバネの働きをする。
3)着地する時の衝撃をやわらげるクッションになる。
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3つの役 割があり、これがあってこそ正しい二足歩行ができ、長距離を歩いても疲れにくくなります。また、当然の事ながら運動能力についても、土踏まずができている子供のほうが優れています。
しかし、最近は土踏まずの形成率が低くなっています。高度成長に伴って自家用車が普及して、子供たちが歩かなくなった。ビルや住宅が立ち並び遊ぶ場所がなくなった。等の理由から土踏まずの形成率が低下したものと考えられます。
土踏まずが形成されていないと、どういう困った事があるかと言いますと、その1つとして運動能力の劣ることです。土踏まずが形成されると、足裏の第一指の付け根とかかとの間の骨がアーチ形をつくります。歩いたり、走ったり、運動したりするときに、この足裏のアーチがバネの役割をしているのです。足裏のバネが発達していれば、跳んだり、はねたりの能力が高まりますし、降りるときの衝撃をやわらげる働きをもしています。土踏まずが形成されていない子供は、立ったときに体の重心がかかとよりになります。ほとんどの運動は、前方への動きが中心になりますから、重心が前方にあったほうが動きがスムーズに行われます。 したがって、土踏まずが形成されて重心が前方にある子供の方が、運動能力は優れています。 また、土踏まずのアーチ形は、体のバランスを保つうえでも重要な役割があります。土踏まずが形成されている子供に比べて、土踏まずの形成されていない偏平足の子供は、身体動揺範囲が広い。つまり、偏平足の子供は直立したときに、頭の位置の揺れ動く範囲が広いということです。それだけ体のバランスのとり方が下手だということです。さらに土踏まずが形成されることで筋肉も発達し、運動能力も高まってバランスのとり方もじょうずになります。
このように土踏まずは子供にとって、重要な事でありますので子供の生活を見直して、走行すること、戸外での運動など心がけ、しっかりとした足をつくってあげて下さい。
子供の靴選び
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靴は子供の足にとっていろいろな効果があります。まず、危険なものからの保護。冷たいものからの保湿。硬いアスファルト、コンクリートからのクッション等です。 ヨチヨチ歩きの頃から靴は長い付き合いが始まります。体の発達が著しく、足の運び方もしっかりしてくる幼児期は、とくに足に合った靴をはかなければいけませんが、『買ってもすぐに小さくなってしまうから』と大きめの靴を履かせることが多いです。合わない靴は、単に足によくないだけでなく、体全体の健康にも悪影響を与えます。合わない靴を履いている場合、歩いているうちにかかとから外れたり、立っている時はつま先に余裕があるのに、歩くと足が前にずれて指先が痛くなったりしてしまう事がよくあります。足の指をしっかりふんばって地面を捕らえて歩くという最も大切な動きが妨げられるわけです。こうした靴をはいていると、子供は活発に動かなくなったり、歩く姿勢が悪くなったり、大人になった時、腰痛や膝の痛みを抱える危険性があります。
では、どういう靴を選んだらいいのか、その原則を箇条書きにします。
1)親指の付け根と小指の付け根の、左右に一番出っ張っているところを結ぶ線の足の回りを、ウイズあるいは足囲といいます。この部分が足とピッタリとあっている事。
2)かかとのカーブと足が一致して、自然にフィットして、かかとからウイズの部分までが、ピタリと足に合って、つま先に5〜10mmの余裕があるものが、最適のサイズです。
3)足指が締め付けられたり、圧迫されるものは好ましくありません。
4)靴の中底が足の裏に吸い付くようにフィットして土踏まずの部分がほどよく盛り上がっていることが肝心で、圧迫したりすき間があいているのは足に合っていません。ただし、スポーツ用の靴ではすき間が必要です。
5)足の甲がきつかったり、くるぶしに当たったりするものは好ましくありません。
6)かかとを上げて指を曲げた時、その部分が柔らかく曲がり、靴底の曲がる位置が指の付け根と一致していて、しかも曲がりやすいものが大切です。
7)まっすぐ立った時に、安定していて靴底が床にピタッとついているもの。
●子どものスピードと大人のスピード
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大人と子供が一緒に手をつないで歩く事があります。
しかし、一緒に歩くためには、どちらかがスピードを合わせて歩いているはずです。どちらがどちらに合わせているのでしょうか? 大人の歩く歩幅は、68.5cmで、走る歩幅は、114.4cmです。これにくらべて5才の子供の歩く歩幅は、47.3cm、走るときの歩幅は、80.6cmです。 また、秒速は、大人の歩く時は、1.47m、走るときは、3.4mに比べ、5才児の子供では、歩く時は、1.32m、走ると2.95mです。 したがって、大人と5才児の子供では、普通に歩くと1秒で15cm、1分で9mの差が出来てしまいます。しかも、大人が10歩歩く間に5才児は13歩以上歩いているのです。「速く歩きなさい!」「何をぐずぐずしているの!」と怒っても、子供にはとうてい追いつけるものではありません。 一緒に走る時はなおさらです。1分間で、大人より子供が88mも後ろにいるのです。
構造的に未発達で、スケール的にも差があって、能力的にも未発達の子供たち。どちらが合わせてあげれば良いのでしょうか。
足の指を強化する遊び
つま先歩き
つま先立って歩きます。かかとを上げて足指とその付け根だけで歩くので、足指を強化すると共に、足のアーチ型を形成している骨と、それを支えている筋肉や靱帯を強くします。又、つま先立ったときには、バランスを上手に取らないと倒れてしまうので、背筋が伸びて姿勢もよくなります。
● イモムシ歩き
直立して、足指を曲げながら、その力だけで前に進みます。足指に力を付けると共に、足全体を強化します。子供同士に競争をさせてみるのもいいでしょう。
● 足指綱引き
長さ50〜60cmのひもを用意し、両端を結んで輪を作ります。子供は足を前に出して、向かい合ってすわり、輪型のひもを足の親指にかけ、引っ張りっこをします。左右の足をかえたり、違う指でもするといいでしょう。
さらに、ひもを足の親指と人さし指で挟んで、引っ張りっこをします。いずれも、足の指を強化します。
足の器用さを養う遊び
● エンピツつかみ
床の上にエンピツをおいておいて、すわったまま、足指につかみ上げさせます。右足ができたら左足で。さらに立ち上がって、片方の足指でエンピツをつかみ上げ、それを手でとります。足指を強くし、器用さを養いますし、たってすれば、平衡感覚も育てます。
● 足指ジャンケン
足の指でジャンケンをしましょう。グーは、足の指全部を下に曲げる。チョキは、親指を上に、他の指は下へ曲げる。パーは、指を思いっ切り開きます。 初めはなかなか上手にできないでしょう。特にチョキは難しいので、パーと見分けがつかなくて、笑いを誘うかもしれません。しかし、だんだんじょうずになって、指の器用さが養われます。
足指と脚を強化する遊び
● つま先立ち屈伸
手を持ってもらって、つま先立ちし、かかとをつかないで、膝を曲げてしゃがみ、そのままつま先で立ち上がります。足指や脚、膝を強化します。手を離して行えば、平衡感覚を養うのに役立ちます。
● 足ジャンケン
足で行うジャンケンで、子供時代になさった経験をお持ちの方も多いと思います。
グーは、両足を閉じる。
チョキは、足を前後に開く。
パーは、足を左右に開く。
足や脚を強化するとともに、反射神経を養います