【金田我天 プロフィール】
小学校の元教師でこども園園長暦は20年。出版社で絵本の編集にも長く携わってきた。
現在、園長を続ける傍ら保母さんや保父さんになる学生たちの専門学校で保育原理を、看護学校で教育学の教鞭をとっている。
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「 胎教 」
胎児の教育の一つとして行なわれていたもので、妊娠中の母親の行動、精神生活が胎児に影響するとするもの。
はじめに記載されたのは江戸時代の育児書であるという。その頃から、思い込みの部分が多く、胎教の「教」は教育の「教」でなくて宗教の「教」のようである。
「 退行現象 」
防衛規制の一つで、すでにある段階に到達したものが心理的安定を求めてより未発達な段階に逆戻りすること。たとえば、下の子が生れたとたんにおねしょを始めるといった現象。
「冬彦さん現象」は、欲求不満を契機にして起こす病的退行の一例である。
「 体操座り 」
「体育座り」とも言い、お尻を地につけ、ひざを抱える座り方をこのように言う。
いろいろな座り方があるけれど、何のためにそんなにあるのかな。座るのは立っていると疲れるからなのに。
「 脱水症 」
体内水分が欠乏状態になって起こる症状。口渇、精神障害、けいれんなどを伴う。汗を異常にかいたとき、尿が異常に出たとき、下痢をしたとき、水分補給をしないために起こる。
下痢をしたとき、おなかが悪いからといって水分をひかえる親がまだいることを責められない。ついこのあいだまで、そう医者が指示していたのだから。
「 縦割り保育 」
異年齢児保育の項、混合保育、年齢別保育の項参照。
「 単身家庭 」
「ひとり親家庭」といい、母子家庭、父子家庭が典型的である。かつては「欠損家庭」や「片親家庭」とも呼ばれてきた。
残酷のようだけれど子の非行の発生率は、一般家庭に比べ、母子家庭は4倍、父子家庭は9倍、子の自殺の発生率は同じく母子家庭は3倍、父子家庭は9倍、家庭内の児童の虐待の発生率は、同じく母子家庭は13倍、父子家庭は67倍という資料があるらしい。がんばってもらわなければ。
「 団塊の世代 」
昭和21〜24年のベビーブームの時代に生まれた世代。人口ピラミッドで見ると、同世代の人数が特に多く、かたまり(団塊)のような形になっているところから名づけられた。
団塊の世代ほどめいりょうではないが、それぞれの時代の若者に、その風俗や行動の特徴をもとにして、いろいろな名前がつけられている。「太陽族」「竹の子族」「クリスタル族」「3語族」「くれない族」「新人類」「プッツン族」…、これらはみんな、子育ての仕方が影響している。今の子どもたちは、どんな名前がつけられる若者になるのだろうか?
「 知育 」
「知育」「徳育」「体育」と称されるアリストテレス以来の伝統的な3分法による教育分野の一つで、知的な面の教育をさす。
知的な面の教育とは、「文字」「数」指導をすることだと思っている人は、知的な人ではない。
「 知識欲 」
遊びという生活を通して、自分自身で積極的に知識を求めていくこと。
この「用語解説」を読む人は、知識欲が旺盛な人であり、「用語解説」が理解できる人は将来が有望な人である。
「 父親学 」
仕事の忙しさから、子どもの心のなかの父親の存在が希薄であることから、様々な問題が生じてきたので、企業における仕事と家庭での夫及び父親の役割を両立させるために企業側から提案されたもの。
園への送り迎えをしたり、子どもの面倒見のいいお父さんを「すてき!」と思う心が、良き父親を育てる(その気にさせる)。
「 通園施設 」
社会福祉事業の形態には、1.収容施設、2.通園施設、3.利用施設の3種類があり、こども園、幼稚園のように家庭から通所する施設を通園施設という。
しだいに保育時間が長くなってきており、家庭のほうが通園施設になりつつあるかも。
「 手足口病 」
1960年代の後半から発生し、70年代になって急速に増えてきた、新顔のウイルス性発疹症。手足に小さな水泡ができ、大半は2、3日で苦痛なく治ってしまう。潜伏期は3日から6日。
伝染病は、ほとんどが分かった時点で、もうほかの子にうつってしまったあとのことが多く、登園停止にするのは、うつす恐れがあるからではなく、欠席にしないからせめてその間だけでも親に看病してもらいたいと思う期間である。
「 手遊び 」
手と手、心と心を通してのコミュニケーションができる豊かな遊びの一つ。手、指の動きやリズムにあわせ、歌いかけ、語りかけが言葉を育み、手指の器用さの獲得も期待できる。
子どもとのコミュニケーションをとる一つの手段であるのに、ひとりよがりでやっていて、子どもはしらけて仕方なく付き合っているといった場面や、単に間をつなぐ手段に使っている光景を見ることが多い。
「 低体温児 」
子どもは、大人よりも新陳代謝が盛んなため、体温が大人よりも高い状態が常識であったが、最近の調査によれば35℃台の子が4人に1人はいるといわれている。理由はまだ不明な部分が多いが、睡眠不足や運動不足、冷暖房が原因であるという説がある。
最初、分からないうちは、なかなか体温が上がらないので、「もっとしっかり体温計を入れていなさい!」とおこってしまうことが多い。
「 伝染病 」
病原体によって引き起こされ、その病原体が個体から個体へと波及していく疾病のこと。小児期に多く、予防のため登園停止をする必要があることから、幼稚園や保育所などにおける対策はきわめて重要である。
昨年の医師会の見解で、「りんご病」や「手足口病」が治って登園するときに、登園許可書はいらないと発表されたが、このニュースはあっという間に、保護者の間に伝染していった。
「 ディリープログラム 」
1日の生活のリズム、生活の流れを言う。日課のこと。
この言葉を口にしたとき、初めて保育者になるのである。
「 デカルコマニー 」
絵の具を塗った紙を2つに折って押し重ねることによって、偶然的な形態の面白さを求める技法。もともとは、紙片に描いた絵、図案などを陶器その他の器物の表面に当てて転写すること。
偶然にできる絵に対し、どんな子にも神は平等に才能を与える。
「 動機づけ 」
行動を方向づけ、その方向にむかってのエネルギーを、放出する過程を言う。この過程は、欲求、動因、誘因の3つの機能で成り立つ。簡単に言えば「やる気」を起こさせることである。
しかられるのがいやでやるのも動機であるが、その結果からは創造的、生産的なものは産まれない。
「 導入 」
何を糸口にして幼児をその活動の目標を理解させ、自発的興味を誘発させるかというきっかけの段階。
導入の方法は、保育者の工夫や創造性が必要である。色々なことを経験している遊び人の保育者ほど導入が上手かもしれない。
「 統合保育 」
障害児を含めての保育という意味。統合保育により、障害児は普通児からの刺激によって発達が促進され、普通児は本当の意味の福祉の心の芽ばえが養われる。
保育のプロであることを他人に示したければ、統合保育を「インテグレーション」といい、障害者を可能な限り普通の人に近い生活を確保させることを「ノーマリゼーション」と横文字を使うことである。
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