【金田我天 プロフィール】
小学校の元教師でこども園園長暦は20年。出版社で絵本の編集にも長く携わってきた。
現在、園長を続ける傍ら保母さんや保父さんになる学生たちの専門学校で保育原理を、看護学校で教育学の教鞭をとっている。
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「 マーブリング 」
水面に絵の具を浮かし、紙に写し取る方法。墨汁を使うと同心円の状の年輪のような模様ができ、油性絵の具では大理石のような模様ができる。
マーブルとは、チョコレートのことでも、アイスクリームのことでも、ケーキのことでもなく、大理石のことである。
「 マザーリング 」
母親による母親らしい世話のこと。「母親による愛撫」という意味がある。
20世紀初頭、マザーリングの手法を加えることによって、乳幼院における乳児の死亡率が15年間で、78・5%から17・3%に下がったらしい。今でもこれほど効果があるのだろうか?だって、これを与える母親が変わり、これを受ける子どもが変わってきたのだから。
「 マターナル・デプリケーション 」
何らかの理由により、母親もしくはそれにかわるべき人から離され、人手の少ない、温かさに欠ける施設で育てられた子どもや、愛情の欠如・放任・敵意によって、適切な教育が受けられなかった子どもがパーソナリティーや知的発達の遅れを生じること。
「悪しき家庭といえども、よき施設に勝る」と言われた時代から「よき施設は悪しき家庭に勝る」と言われるようになったのは、喜ばしいことなのか、それとも嘆かわしいことなのか?
「 未熟児 」
臓器機能が未発達で、胎外の生活に適応できる成熟度がない出生児のこと。古くは、出生体重2500g未満の出生児をさした。現在は、1500g未満を極小未熟児、1000g未満を超未熟児と呼んでおり、1500g以上なら未熟児という言葉は使われなくなった(1500〜2500gの出生児は低出生体重児、または低体重新生児と呼ばれる)。
超未熟児も、冷たくしないで保温器で大切に育てられればりっぱに育つように未熟な保育者も大切に育てなければ。
「 無許可保育施設 」
幼稚園・こども園はともに、一定基準の施設・設備・保育内容・職員組織を備え、それぞれの許可権者によって許可を受けるようになっている。こうした許可を受けないで、幼稚園、こども園と同様の業務を行う施設をこう呼ぶ。
一定の基準(許可基準)が、園の独自性とかユニークさを制限するものであれば、無許可の施設のほうが一般住民のニーズに堪えるという点で許可施設になりかねない。
「 モラトリアム 」
もともと国家の債務の支払猶予、支払い延期をさす。心理学では、人間が成長してなお、社会的義務の遂行を猶予される期間をいう。「モラトリアム人間」という言葉は、昭和46年小此木啓吾氏が作った造語であり、モラトリアム状態を楽しんでいて、いつまでも大人になろうとしない青年期延長型の人間を意味する。
いつも研究するのは大人世代なので、不名誉な名前をつけられるのは、若者になることが多い。
「 沐浴 」
髪を洗い、体を洗うこと。こども園には、新陳代謝の激しい乳幼児のために沐浴室が備えられている。
保育用語には「沐浴」「排泄」「ほふく」など、日常語にはない、使い慣れない言葉が多い。もっと若い人に受け入れられるような、トレンディーな呼び方にかえたほうがよいのでは。
「 模倣遊び 」
子どもが他の人のやっていることを見てそれをまねするあぞび。あそんでいるうちに、さまざまなことを学習していく。古くからの「ままごと」が典型的な例。
まねをする対象は、年長者や大人である。その中で最も影響を与えるのは、親と保育者であることはわかっているが、まねされてよいと、自信をもって言える人はどれだけいるだろう?子どもにとって、反面教師などという言い訳はきかないのだから・・・・
「 文字指導 」
幼児期の文字指導には「文字指導否定論」「自発性重視論」「遊興性重視論」「系統性重視論」「早期才能開発論」などのさまざまな考え方がある。
幼児期の文字指導は基本的に反対だが、子どもが自発的に興味をもってきたので、あそびの中に取り入れ、系統だてて指導するうちに早期才能が開発されていった場合は、どの理論に属するのだろう。生きている子どもの行動を、一つの理論の中に入れるのはなかなか困難である。
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