【金田我天 プロフィール】
小学校の元教師でこども園園長暦は20年。出版社で絵本の編集にも長く携わってきた。
現在、園長を続ける傍ら保母さんや保父さんになる学生たちの専門学校で保育原理を、看護学校で教育学の教鞭をとっている。
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「 発育段階 」
受精から死に至るまでの課程をいくつかの時期に分けて、それぞれの特徴を把握する試み。研究者によって、発達をどの側面から眺め、何を発達の本質と考えるかが異なり、多くの説がある。
発達段階を到達目標と思ってしまうこと(例えば、発達段階では12か月で歩き始めるというのを、12か月で歩けるようにしなければならないと思うこと)は、保育者となるための発達段階のひとつなのかもしれない。
「 働きかけ 」
個々の発達や個性に応じて、幼児が望ましい方向に変容していくことを願って、保育者が行う援助。

「働きかけ」をしない保育者は、園で働いていることになるのかな?
「 排泄 」
生き物が代謝によって生じる不要物・有害物などを体外に排除する作用。園では排便と排尿を総称して排泄という。排泄訓練には、水の流し方、紙の使い方、手洗いなども含まれる。

幼稚園や保育所が真に時代のニーズにこたえる施設となるためには、排泄しなければならない古い考え方がある。しかし、これは単に、古いものを排泄すればよいのではなく、不要物や有害物であるかどうかを、子どもの視点で検討する必要がある。
「 パネルシアター 」
ネルをはったボードに、不織布にかかれた絵をはって演じる舞台。昔はフラネルグラフと言い、寝るのボードにネルをはった。最近では、蛍光塗料でかいた絵を黒いボードにはり、暗いところで、光をあてて演じるナイトシアターも行われる。

ネルのボードは単なる板でなく舞台(シアター)であるはずなのに、絵がちっとも舞わないで、紙芝居のようになってしまうことが多いようだ。
「 病児保育 」
保育所では健康な乳幼児を保育するのが原則であるが、病気になった子どもでも、保護者が仕事を休めなかったり、保育に当たれない場合に保育すること。

子どもは仕事が忙しいときに限って、医者が休みの日に限って、どこかに出かける予定のある日に限って、よく病気になってしまうものである。親たちがどのくらい自分のことを大事に思っているのか、試しているのかな?
「 ピーターパンシンドローム 」
ピーターパンは、夢の国で遊ぶ永遠の少年である。1970年代後半からアメリカで、大人の仲間入りできない男性が大量に出現し始めた。こうした男性たちが表す心の症候群のことをこのように呼ぶ。
家庭の不安定、教育・しつけの機能低下などが、要因であると言われている。家庭がこんな状態のとき、子どもっぽくなるのは男性で、早く大人っぽくなるのは女性である。
「 表出 」
心の中の感情や思いなど、内面的なものを意図的に外面化することを”表出”と呼ぶ。
乳児が機嫌が悪いときに泣くのは表出であるのに、表現(わざと泣いてみせている)と思うところから幼児虐待が始まる。
「 父親不在 」
子どもを社会化するのが父親の役割といわれているが、母子のような密着した関係をもちたがる父親が増えている。それによって、父親の精神的不在を招き、子離れ、親離れできない母子癒着や、家庭内暴力の誘因になっている。
今は、子どもを社会化するのは母親であり、父親に精神的支えを求めない場合が多い。父性は不在どころか、父性不要と思っている家庭が増えている。
「 フロッタージュ 」
木材や石に紙をあてて、木炭や鉛筆でその木目や地肌をこすり出すもの。
子どものころよくやった、鉛筆でお金をこすり出す遊びが、こんなモダンな名前だとは知らなかった。
「 偏食 」
ある特定の食品を嫌って食べない状態や、ある食品を好んで、それがないと食事が進まない状態をいう。
子どもをもつ前は、「子どもが偏食になるのは、親の偏食に原因があることが多い」という説を信じたが、もってからは、そんな説は信じられなくなった。
「 ベビースイミング 」
家庭にプールがあるのがさして珍しくないアメリカ合衆国のような国、またオランダのように運河の多いところで、水の事故を防ぐ意図で始められたもの。
家庭にプールもなく、運河もない日本に取り入れられて、早期教育的に理論化されたところはいかにも日本らしい。また、日本の水の事故は、浮いてたり、泳げたりしてもあまり意味のないようなところ(水槽、洗濯機、浴槽…)が多いので、その対応も考えてほしい。
「 ベビーホテル 」
昭和40年代になって、ホテル内に、主としてホテル施設利用者の便宜を図るために、乳幼児を一時的に預かり、保育する目的で作られたもの。55年に厚生省は「1:24時間預かっている。2:夜間保育を行っている。3:時間単位の一時預かりをしている、のいずれかに該当する施設」と定義したが、必ずしも正確ではない。
ペットだってホテルがあるのだから、あたりまえといえばあたりまえなのかも。だけど、ベビーもいよいよペットか。
「 保育ママ 」
民間の有志家庭で、少数(3〜5人)の乳幼児を預かる一定の条件を持った女性。この制度は地方自治体によって名称が違う。日本では家庭福祉員、家庭委託所、家庭保育、民間里親など。イギリスでは、チャイルド・マンダー、アメリカでは、フォスター・デイ・ケア、北欧ではファミリー・デイ・ナースリーなどと呼ばれる。
何で最初に保育母と言わなかったのだろう。”ママ”より”母”のほうが、包容力たっぷりの響きがあるのに。
「 保父 」
保育の仕事をする希望する男性が現れ始めたのは、昭和40年代後半のこと。昭和52年、児童福祉法の改定により、法的に男性保育者が認められると、その数は急激に増加した。だが、保母総数に対する男性の割合は、0.36%に過ぎないのが現状である。
保父の資格を、今だに”保母資格”といい、”児童福祉施設で働く女子”と定義されている。
「 ほふく室 」
乳児が自由に入って、動き回れるスペースのこと。2歳未満児を入所させる保育所では、児童福祉施設の最低基準に、その設置が定められている。
ほふく室は知っていても、ほふくの意味(腹ばいになること、手と足を使ってはい進むこと)は、死語の世界になりつつある。
「 母原病 」
母親の育て方が原因で、子どもの心身形成にひずみが出てくる文明病のこと。従来の方法では、治療の難しいものが多い。
育て方に原因があることに、ほとんど育てて終わってから気づくことが多い。
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